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肩が上がらない…その原因は腱板断裂かもしれません|整形外科での対応
「腕を上げようとすると肩に力が入らない」「特定の角度で激しい痛みが走る」
もしあなたがこのような症状で悩んでいるなら、それは五十肩ではなく腱板断裂(けんばんだんれつ)かもしれません。腱板断裂は、肩の機能に大きく関わる重要な疾患であり、早期の正確な診断が治療の成否を分けます。
岐阜市で肩の痛みや挙上困難でお悩みの方は、放置せずに当クリニックへご相談ください。日本整形外科学会専門医である院長が、正確な診断と最適な治療を提供し、快適な日常への復帰をサポートいたします。
腱板断裂とは?五十肩との違い
腱板とは?
腱板(ローテーターカフ)とは、肩関節を安定させ、腕をスムーズに動かすために重要な役割を果たす4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱の総称です。この腱の一部、または全部が切れてしまった状態が「腱板断裂」です。
腱板断裂の主な原因
腱板断裂は、主に以下の原因によって起こります。
- ◼︎加齢による変化(変性)
- 最も多い原因です。腱は加齢とともに弾力性を失いもろくなるため、軽い外力や日常的な動作の繰り返しでも断裂しやすくなります。
- ◼︎繰り返しの負荷
- 野球やテニスなど肩を酷使するスポーツや、重いものを持ち上げる肉体労働など、肩に繰り返し過度な負担がかかることで腱が摩耗し、断裂に至ることがあります。
- ◼︎転倒などの外傷
- 肩を強打したり、転倒して手をついたりした際に、強い力がかかることで腱が切れることがあります。
五十肩(肩関節周囲炎)との決定的な違い
腱板断裂と五十肩は症状が似ているため混同されがちですが、病態は全く異なります。正確な鑑別が治療方針の決定に不可欠です。
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項目 |
腱板断裂 |
五十肩(肩関節周囲炎) |
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病態 |
腱(筋肉と骨をつなぐ組織)が切れている状態 |
肩関節の周囲に炎症が起き、関節包が硬くなる状態 |
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主な症状 |
腕を上げる時に力が入らない 特定の動作や角度で激しい痛み 他人の介助があれば腕が上がることが多い(他動可動域の維持) |
安静時や夜間にも強い痛み 肩の可動域全体が徐々に狭くなる 他人の介助があっても腕が上がりにくい(拘縮) |
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進行 |
自然治癒は難しく、断裂が進行することがある |
ほとんどの場合、適切な治療で自然治癒する |
腱板断裂の場合、「自力で腕を上げるのは難しいが、他人に手伝ってもらえば痛むものの動く」という特徴的な症状が見られることが多く、これは関節自体が固まっているわけではないためです。
あおと整形外科クリニックでの診断と治療
当クリニックでは、問診と触診に加え、高性能な画像検査を用いて腱板の状態を正確に把握し、個々の患者様に最適な治療方針を決定します。
1. 正確な診断
- ◼︎超音波(エコー)検査
- 痛みのある箇所をリアルタイムで詳細に観察し、腱板の断裂の有無、程度、位置をその場で正確に把握します。X線(レントゲン)では写らない腱や筋肉の状態がわかる、非常に重要な検査です。
- ◼︎X線(レントゲン)検査
- 骨や関節の状態、骨と骨の間隔などを確認し、石灰沈着や他の病気が隠れていないか確認します。
2. 保存療法(非手術的治療)
断裂の程度が軽度の場合や、痛みのコントロールが優先される場合、まずは保存療法を積極的に行います。
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治療法 |
目的と内容 |
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リハビリテーション |
理学療法士がマンツーマンで指導。腱板以外の筋肉を鍛えて肩の機能を補強したり、硬くなった関節をほぐしたりすることで、痛みの軽減と機能改善を図ります。 |
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注射療法 |
痛みが強い場合、炎症を抑える注射(局所麻酔薬やステロイド)や、腱板周囲の癒着を剥がすハイドロリリースを行い、痛みを緩和しリハビリの効果を高めます。 |
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薬物療法 |
炎症や痛みを抑える内服薬や外用薬(湿布など)を処方します。 |
3. 手術の検討
保存療法を3ヶ月以上続けても症状が改善しない場合、断裂が大きく日常生活に支障をきたしている場合は、手術を検討します。
当クリニックと連携している専門病院へご紹介し、主に関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術による断裂した腱を縫い合わせる手術を行います。関節鏡下手術は、小さな切開で行うため、体への負担が少なく、術後の回復が比較的早いのが特徴です。
腱板断裂と診断された方のための対策(セルフケア)
治療効果を高め、症状の悪化を防ぐために、日常生活で以下の点に注意しましょう。
- ◼︎痛みの出る動作を避ける
- 特に腕を上げる動作や、重いものを持つ動作は腱板に負担をかけるため、一時的に避けるように心がけましょう。
- ◼︎肩の保温
- 肩を冷やさないよう、入浴などで温め、血行を良くすることが大切です。
- ◼︎セルフエクササイズの継続
- 理学療法士から指導された「腱板以外の筋肉を補強する体操」や「肩甲骨周りの運動」を、痛みのない範囲で毎日継続して行いましょう。
- ◼︎急性期の安静
- 痛みが強い急性期は、無理に動かさず、安静を保つことが大切です。
腱板断裂は、放置すると断裂部が広がり、肩の機能がさらに低下する可能性があります。
「単なる年のせいだろう」と自己判断せず、岐阜市内で肩の挙上困難でお悩みの方は、お早めにあおと整形外科クリニックにご相談ください。
FAQ
Q1:腱板断裂は自分で治せますか?
A1:腱板は一度切れてしまうと、自然に完全に修復することは難しいとされています。断裂の程度によっては、保存療法で腱板以外の筋肉を鍛えることで肩の機能を補い、痛みをコントロールすることは可能です。しかし、断裂の進行を防ぐためにも、自己判断せずに専門医の診断を受けることが重要です。
Q2:腱板断裂と診断されたら、必ず手術が必要ですか?
A2:必ずしも手術が必要というわけではありません。断裂が小さく痛みが軽度であれば、リハビリテーションや注射などの保存療法で症状が改善し、日常生活に支障がない状態を維持できるケースも多くあります。手術は、保存療法で改善しない場合や、断裂が大きく日常生活に大きな支障がある場合に検討されます。
Q3:腱板断裂の注射治療はどのようなものですか?
A3:腱板断裂に伴う炎症や痛みを抑えるために、ステロイドや局所麻酔薬を注入する治療を行います。また、当院では超音波エコーガイド下で、腱板周囲の癒着を剥がすハイドロリリース注射を行うことで、痛みの緩和と可動域の改善を図り、リハビリの効果を高めます。
Q4:リハビリはどのくらい続ければ効果が出ますか?
A4:リハビリテーションの効果には個人差がありますが、一般的に数ヶ月以上の継続が必要です。特に、腱板断裂は単に腱を治すだけでなく、他の筋肉で機能を補強することが重要であり、医師や理学療法士の指導のもと、根気強く続けることが大切です。
📚 参考文献
- 腱板断裂|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rotator_cuff_tear.html)
- 肩腱板断裂診療ガイドライン 2024(日本整形外科学会)
監修者情報
監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)
岐阜市で五十肩にお悩みの方へ|整形外科でできる治療と対策
「腕を上げようとすると肩が痛む」「夜中に肩がズキズキ疼いて目が覚める」――もし、あなたがこのような肩の不調にお悩みなら、それは五十肩(肩関節周囲炎)かもしれません。
五十肩は、放置すると肩の動きが固まってしまい、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。特に岐阜市で肩の痛みにお悩みの方は、我慢せずに整形外科で適切な診断と治療を受けることが大切です。
あおと整形外科クリニックでは、日本整形外科学会専門医である院長のもと、患者様一人ひとりの症状と病期に合わせた最適な治療を提供し、痛みからの解放と肩の機能回復を徹底的にサポートいたします。
五十肩(肩関節周囲炎)とは?進行する3つの病期
五十肩は、一般的に40代から60代に発症する原因不明の肩関節の炎症と、それに伴う可動域制限を伴う病気です。この病気は、主に以下の3つの時期を経て進行します。
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病期 |
特徴的な症状 |
整形外科での対応(急性期~慢性期) |
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1. 急性期(炎症期) |
強い痛みが特徴。特に夜間の痛みが激しく、安静にしていても痛むことがあります。 |
薬物療法(内服薬・外用薬)や注射療法(ステロイドなど)で、まずは「痛みを抑えること」を最優先します。 |
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2. 慢性期(拘縮期) |
痛みは落ち着いてくるが、肩関節の動きが硬くなり、可動域が制限されます。着替えや髪を洗う動作などが困難になります。 |
注射療法やリハビリテーション(運動療法)を積極的に行い、硬くなった関節をほぐして可動域を回復させることを目指します。 |
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3. 回復期 |
痛みも可動域も徐々に改善し、日常生活動作が楽になってくる時期です。 |
リハビリテーションを継続し、肩の機能回復と再発予防のための筋力強化を行います。 |
五十肩は自然に治ることもありますが、長期間放置すると関節が固まり、「凍結肩(フローズンショルダー)」となり、治療に時間がかかる場合があります。違和感を感じたら、早めの受診が早期回復への鍵となります。
あおと整形外科クリニックでできる五十肩の治療
当クリニックでは、五十肩の病期や重症度を正確に判断し、主に手術をしない「保存療法」を中心とした治療を行います。
1. 注射による治療:痛みの早期緩和を目指す
特に痛みが強い急性期や、可動域制限が強い慢性期に非常に有効です。
- ◼︎ハイドロリリース(筋膜リリース)
超音波エコーガイド下で、生理食塩水にごく少量の麻酔薬を混ぜた薬液を、痛みの原因となっている腱板周囲の癒着した組織に注入し、剥がします。体への負担が少なく、辛い痛みや動きの制限を早期に解消する効果が期待できます。(当院では積極的に取り入れています。) - ◼︎ステロイド注射・ヒアルロン酸注射
炎症が強い部位にステロイドを注入して炎症を強力に抑えたり、関節内にヒアルロン酸を注入して潤滑作用を高めたりすることで、痛みの緩和と動きの改善を図ります。超音波エコーを使用し、正確な箇所に注入します。
2. リハビリテーション(理学療法士による運動指導)
五十肩の治療において、リハビリテーションは最も重要な柱の一つです。
- ◼︎運動療法
国家資格を持つ理学療法士が、患者様一人ひとりの状態に合わせた個別のリハビリプログラムを作成・指導します。硬くなった関節包や周囲の筋肉を丁寧にストレッチし、安全な方法で可動域を広げる訓練を行います。 - ◼︎物理療法:温熱療法や電気療法(干渉波など)などの医療機器を使用し、肩関節周囲の血行を改善し、筋肉の緊張を緩和することで、痛みの軽減と運動療法効果の増強を図ります。
- ◼︎セルフケア指導
- ご自宅で安全に行えるストレッチや体操の方法、日常生活での注意点などを丁寧に指導し、治療効果の持続と再発予防を目指します。
3. 薬による治療
痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)などの内服薬や、湿布などの外用薬を処方します。特に夜間痛が強い場合は、睡眠を妨げないよう、鎮静作用のある薬を併用することもあります。
五十肩の回復を早めるためのセルフケアと対策
整形外科での専門的な治療に加え、ご自宅でのセルフケアも回復を大きく左右します。
1. 急性期(痛みが強い時期)の対策
- ◼︎安静と固定
- 強い痛みが続く場合は、無理に動かさず、三角巾やサポーターなどで肩を固定し、安静を保ちましょう。
- ◼︎患部の保温
- 炎症が落ち着いている時期は、入浴や温湿布などで肩を温め、血行を良くすることが痛みの緩和に役立ちます。ただし、炎症が強い時期は温めると痛みが増すことがあるため、冷やした方が良い場合もあります。自己判断せず、医師に相談してください。
- ◼︎睡眠時の工夫
- 夜間痛で眠れない場合は、痛い方の腕の下にクッションやタオルを敷いたり、抱き枕を使ったりして、肩への負担が少ない楽な姿勢を探しましょう。
2. 慢性期(動きが硬い時期)の対策
- 指導された体操の継続:理学療法士に指導された通りに、痛みのない範囲で毎日ストレッチや体操を継続することが、可動域回復に不可欠です。
- 日常生活での動作の工夫:硬い動きを無理に行わず、健康な方の腕や体全体を使って動作を補助するように工夫しましょう。
岐阜市で五十肩でお悩みならあおと整形外科クリニックへ
五十肩の治療で最も大切なのは、「正確な診断」と「病期に合わせた適切なアプローチ」です。
あおと整形外科クリニックでは、最新の超音波エコー検査を用いて肩の状態を詳細に把握し、注射、薬、リハビリテーションを組み合わせた統合的な治療計画をご提案します。
「単なる肩こりだろう」「歳だから仕方ない」と諦めずに、岐阜市内で肩の痛みにお困りの方は、ぜひ一度、当クリニックにご相談ください。私たちは、あなたの痛みに寄り添い、快適な日常を取り戻すお手伝いをいたします。
FAQ
Q1:五十肩は自然に治りますか?放置しても大丈夫ですか?
A1:五十肩は多くのケースで自然に治癒に向かう病気ですが、完治までに半年から1年以上かかることが一般的です。特に痛みが強い急性期を過ぎても放置すると、関節が固まって「凍結肩」となり、肩の可動域制限が残ってしまう可能性があります。早期に適切な治療(特にリハビリテーション)を行うことで、回復を早め、後遺症を防ぐことが重要です。
Q2:五十肩の治療で、注射は必ず必要ですか?
A2:注射は必須ではありませんが、急性期で痛みが非常に強い場合や、慢性期で関節の拘縮が強い場合に、痛みを劇的に抑え、リハビリテーションの効果を高めるために有効な治療法です。当院では、体への負担が少ないハイドロリリース注射などを積極的に行っており、患者様と相談の上で最適な治療を選択します。
Q3:五十肩と腱板断裂はどのように見分けますか?
A3:どちらも「肩が上がらない」という症状がありますが、五十肩は関節全体が固まっているため、他人に腕を上げてもらおうとしても上がりません。一方、腱板断裂は腱が切れて自力で力が入らないだけで、他人に動かしてもらえば腕が上がるケースが多いです。当院では超音波(エコー)検査などを用いて、腱の状態を確認し、正確な診断を行います。
Q4:夜間の痛みを和らげるための良い方法はありますか?
A4:夜間の痛み(夜間痛)は五十肩の大きな特徴の一つです。痛みが強い場合は、医師から処方された鎮痛薬を服用することが最も有効です。また、寝る時に痛い方の腕の下にクッションや折りたたんだタオルを敷き、肩関節が内側に入りすぎないようにすることで、痛みが和らぐことがあります。
📚 参考文献
- 五十肩(肩関節周囲炎)|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html)
- 五十肩(肩関節周囲炎)|日本臨床整形外科学会(http://www.jcoa.gr.jp/disease/shoulder/007/)
監修者情報
監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)
骨密度を上げるには?整形外科でできること
骨密度を上げるには?「いつの間にか骨折」を防ぐ整形外科での骨粗しょう症対策
「最近、背中が丸くなった気がする」「ちょっと転んだだけで手首や大腿骨を折ってしまった」—これらは、骨粗しょう症が原因で骨密度が低下しているサインかもしれません。
骨粗しょう症は、骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる病気です。特に女性は閉経後に急激に骨密度が低下し、適切な対策をしないと、気づかないうちに背骨が潰れてしまう「いつの間にか骨折(圧迫骨折)」や、要介護状態につながる大腿骨近位部骨折のリスクが高まります。
骨密度は年齢とともに低下しますが、「もう手遅れだ」と諦める必要はありません。整形外科では、正確な診断と科学的根拠に基づいた治療により、骨密度を上げ、骨折を防ぐことが可能です。岐阜市にあるあおと整形外科クリニックで、あなたの骨の健康を守りましょう。
なぜ骨密度は低下するのか?骨粗しょう症の原因
骨は、カルシウムなどのミネラルを主成分とし、古い骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」というサイクル(骨代謝)を繰り返して、常に作り変えられています。
骨粗しょう症は、このバランスが崩れることで起こります。
1. 加齢:骨吸収のスピードが骨形成を上回る
特に50歳以降、骨を作る力が衰え、骨吸収のスピードが優位になることで、骨全体がスカスカともろくなっていきます。
2. 女性ホルモンの減少(閉経後)
女性は、骨の健康を保つエストロゲンというホルモンが閉経後に急激に減少します。これにより骨吸収が加速し、男性よりも早いスピードで骨密度が低下します。
3. 運動不足・栄養不足
骨に適度な負荷(運動)がかからないと骨形成が促進されません。また、骨の材料となるカルシウムや、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが不足することも大きな原因です。
骨密度を上げるために必要な「3つの柱」
骨密度を改善し、骨折を防ぐためには、整形外科での専門的な治療と、日々の生活習慣の改善を組み合わせたアプローチが必要です。
1. 骨密度を改善する「薬物療法」(整形外科での治療の柱)
生活習慣の改善だけでは不十分な場合、最も効果的なのは薬による治療です。整形外科では、骨粗しょう症の状態や、骨折のリスクに応じて最適な薬を選択します。
- 骨吸収を抑える薬(ビスホスホネート製剤など): 骨が壊されるのを防ぎ、骨密度低下の進行を遅らせます。
- 骨形成を促す薬(テリパラチド製剤など): 新しい骨を作る働きを強力に助け、骨密度を大きく改善する効果が期待できます。
- 骨代謝を調整する薬: 女性ホルモンに似た作用を持つ薬など、骨吸収と骨形成のバランスを整えます。
当院では、内服薬だけでなく、月に一度や半年に一度で済む注射剤も積極的に取り入れ、患者様の負担を減らし、治療の継続をサポートしています。
2. 骨を強くする「運動療法」(適切な負荷をかける)
骨は、負荷(重力や筋肉の牽引力)がかかることで強くなります。単なる散歩だけでなく、骨に刺激を与える運動を組み合わせることが重要です。
- ◼︎ウォーキング
- かかとから地面に着地し、適度な衝撃を骨に伝えるように意識して歩きましょう。
- ◼︎筋力トレーニング
- 太ももや背筋など、大きな筋肉に負荷をかける運動(スクワット、かかと上げなど)は、骨への刺激と転倒予防に繋がります。
- ◼︎理学療法士による指導
- 当院では、専門の理学療法士が、骨折のリスクを考慮したうえで、安全かつ効果的に骨密度を上げるための正しい運動方法やフォームを丁寧に指導します。
3. 骨の材料を摂る「栄養療法」(食事の見直し)
どんなに良い薬や運動をしても、骨の材料が不足していては意味がありません。
- ◼︎カルシウム
- 牛乳、乳製品、小魚、小松菜、豆腐などから積極的に摂取しましょう。
- ◼︎ビタミンD
- カルシウムの吸収を助け、骨を強くするのに不可欠です。サケ、サンマなどの魚類、きのこ類に多く含まれます。また、日光浴(適度な紫外線)によって体内で合成されます。
- ◼︎ビタミンK
- 骨にカルシウムを取り込むのを助けます。納豆、緑黄色野菜などに豊富です。
あおと整形外科クリニックでの骨粗しょう症の検査と治療の流れ
骨粗しょう症の対策は、まず正確な診断から始まります。「自分は大丈夫」と自己判断せずに、一度検査を受けることが大切です。
1. 骨密度の精密検査(DXA法)
当院では、最も精度の高い検査法であるDXA(デキサ)法を用いて、腰椎(腰の骨)と大腿骨頸部(太ももの付け根)の骨密度を測定します。この結果をもとに、あなたの骨の状態を正確に把握します。
2. 血液・尿検査
骨代謝の状態(骨が壊されている速さや、作られている速さ)を評価するため、血液や尿の検査を行います。これにより、薬物療法の種類を決定するうえでの重要な情報が得られます。
3. 個別治療計画の立案と継続的なフォローアップ
検査結果と、年齢、既往歴、骨折リスクなどを総合的に判断し、専門医である院長が最適な薬物療法を選択します。さらに、理学療法士による運動指導や生活指導を組み合わせ、骨密度が改善しているかを定期的にチェックしながら、長期的にサポートしていきます。
院長からのメッセージ:骨の健康は未来の活動力です
骨粗しょう症は、痛みなどの自覚症状がないまま進行し、「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれます。しかし、骨折してしまってからでは遅すぎます。
私たちは、骨折予防を通じて、患者様がいつまでも旅行や趣味、そして家族との活動を楽しめるよう、未来の健康をサポートしたいと考えています。
「最近、背が縮んだ気がする」「閉経後、骨の健康が気になる」という方は、ぜひ一度、あおと整形外科クリニックにご相談ください。あなたの骨密度を改善し、活動的な毎日を守るお手伝いをさせていただきます。
監修者情報
監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)
高齢者の転倒予防と筋力トレーニング
高齢期の「転倒」はなぜ危険?専門医が教える予防の極意と安全な筋力トレーニング
「ちょっとした段差でつまずいた」「急に足がもつれてヒヤリとした」—高齢期の転倒は、一過性の事故ではありません。それは要介護状態への入り口であり、生活の質(QOL)を大きく低下させる最も重大なリスクの一つです。
転倒によって引き起こされる骨折(特に大腿骨近位部骨折)は、長期入院や手術を必要とし、多くの方がそのまま寝たきりへと移行してしまいます。しかし、転倒は決して避けられない「老化現象」ではありません。適切な知識と予防策、そして継続的な筋力・バランス訓練で、そのリスクは大幅に減らすことができます。
岐阜市のあおと整形外科クリニックでは、日本整形外科学会専門医である院長と理学療法士が連携し、科学的根拠に基づいた転倒予防と安全な運動器リハビリテーションを提供しています。
高齢期に転倒リスクが高まる3つの主な要因
高齢者が転倒しやすい背景には、加齢に伴う複合的な身体機能の低下があります。
1. 運動機能の低下:筋力・バランス能力の衰え
転倒の最大の原因は、足腰の筋力の低下、特に太もも(大腿四頭筋)とふくらはぎ(下腿三頭筋)の筋力低下です。これらの筋肉は、段差を乗り越える力や、バランスを崩した瞬間に踏みとどまる瞬発力を担っています。 また、平衡感覚や、足の裏から地面の情報を得る固有受容感覚が鈍くなることも、小さな傾きに気づきにくくなる原因です。
2. 骨の脆弱化:骨粗しょう症との深刻な関連
高齢者、特に女性は骨粗しょう症を患っているケースが多く、骨密度が低下しています。転倒自体は予防できても、万が一転んでしまった場合に骨折するリスクが極めて高くなります。 骨折を機に活動量が低下し、さらなる筋力低下を招くという**「負の連鎖」を断ち切るには、転倒予防と同時に骨を強くする治療(骨粗しょう症治療)**が必須です。
3. 視覚・内科的要因と環境要因
遠近感の低下や白内障などの視覚の衰えは、足元の障害物を見落とす原因になります。さらに、服用している薬(睡眠薬、降圧薬など)によるふらつきやめまい、血圧の急な変動などもリスクを高めます。加えて、ご自宅の危険な段差や滑りやすい床といった環境要因も深く関わっています。
【セルフチェック】あなたの転倒リスク度を測る
以下の項目のうち、いくつ当てはまるかチェックしてみましょう。当てはまる項目が多いほど、転倒のリスクが高いと考えられます。
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1. 過去1年間に転倒したことがある |
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2. 立ち上がる時や歩き始めに膝や股関節が痛むことがある |
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3. 杖や手すりがないと歩行に不安を感じる |
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4. 片足立ちを5秒以上続けることができない |
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5. 医師から骨粗しょう症の診断を受けている |
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6. 家の中に段差や電気コードなど、つまずきやすい場所が多い |
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7. 散歩や外出の機会が週に3日未満である |
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8. 複数の薬(5種類以上)を服用している |
チェックが3つ以上ついた方は、整形外科専門医による詳細な検査と、専門的なリハビリテーションを受けることを強くおすすめします。
専門医が推奨する転倒予防のための安全なトレーニング
転倒予防には、筋力(特に下肢)とバランス能力を同時に鍛える運動が最も効果的です。無理なく、毎日継続できることから始めましょう。
1. 椅子を使った太ももの筋力アップ(大腿四頭筋)
目的: 立ち上がりや階段昇降に必要な膝周りの筋肉を強化します。
- 深く座らず、背筋を伸ばして椅子に浅く座ります。
- 片方の足をゆっくりと持ち上げ、膝をピンと伸ばしきった状態で5秒間静止します。太ももの前面に力が入っているのを確認します。
- ゆっくりと下ろし、逆の足も同様に行います。 (左右それぞれ10回を1セットとし、無理のない範囲で2〜3セット行いましょう。)
2. かかと上げ(ふくらはぎ・下腿三頭筋)
目的: 歩行時の蹴り出しと、バランスを調整する能力を高めます。
- 壁や安定した家具に両手を添えて立ちます。
- ゆっくりと、できる限りかかとを高く持ち上げます。
- 上げた状態で2〜3秒間キープし、ゆっくりともとに戻します。 (10回を1セットとし、ふらつきに注意しながら行いましょう。)
3. 片足立ち訓練(バランス能力・体幹)
目的: 転びそうになった時に踏みとどまる、片足で体を支える能力を養います。
- 壁や手すりのそばに立ち、すぐに手を添えられるようにします。
- 片方の足を床から離し、30秒間を目安にキープします。
- 慣れてきたら、手を壁から少し離したり、目を閉じたりして難易度を上げてみましょう。 (左右交互に、必ず安全を確保して行います。もし30秒が難しい場合は、目標時間を短く設定しましょう。)
あおと整形外科クリニックが行うトータル転倒予防サポート
転倒予防は、単なる筋力トレーニングだけで完結しません。当院では、専門医と理学療法士が連携し、以下のような多角的なアプローチで、岐阜市の皆様の安全で活動的な生活をサポートします。
1. 正確な評価と診断
- ◼︎詳細な問診・視診
- 転倒時の状況、歩行パターン、生活環境を詳しくお伺いします。
- ◼︎画像検査(X線、エコー)
- 膝や股関節の変形性関節症の有無や、過去の骨折の痕跡などを確認します。
- ◼︎骨密度検査
- 転倒による重症化リスクを評価するため、骨粗しょう症の有無を正確に診断し、必要に応じて治療を開始します。
2. 専門的なリハビリテーション(運動器リハビリテーション)
国家資格を持つ理学療法士が、医学的根拠に基づいたリハビリテーションを提供します。
- ◼︎個別運動療法
患者様一人ひとりの筋力、柔軟性、歩行の安定性を評価し、オーダーメイドの運動プログラムを指導します。特に、日常生活動作(立ち座り、階段昇降)に直結する機能の改善に重点を置きます。 - ◼︎歩行・姿勢指導
- 転倒に繋がりやすい歩行のクセや姿勢の偏りを修正し、安定した歩き方を習得できるよう指導します。
- ◼︎装具療法
- 足底板(インソール)やサポーターなどを活用し、足元のアライメントを整え、負担を軽減します。
3. 骨粗しょう症治療と生活指導
骨密度が低い方には、骨吸収を抑えたり、骨形成を促したりする薬物療法を積極的に行い、骨折のリスクそのものを軽減します。また、ご自宅の環境整備や、適切な栄養摂取、服薬管理に関するアドバイスも行います。
院長からのメッセージ:転倒不安を安心に変えるために
転倒の不安は、知らず知らずのうちに活動範囲を狭め、心の健康までも蝕んでしまいます。私たちの目標は、ただ転倒を防ぐことではなく、自信を持って外に出かけられる、活動的な毎日を取り戻していただくことです。
「年のせい」だと諦めず、その一歩を踏み出す勇気を持って、私たち専門医にご相談ください。安全と安心を土台とした健康な毎日を、一緒に築いていきましょう。
監修者情報
監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)









