「腕を上げようとすると肩に力が入らない」「特定の角度で激しい痛みが走る」
もしあなたがこのような症状で悩んでいるなら、それは五十肩ではなく腱板断裂(けんばんだんれつ)かもしれません。腱板断裂は、肩の機能に大きく関わる重要な疾患であり、早期の正確な診断が治療の成否を分けます。
岐阜市で肩の痛みや挙上困難でお悩みの方は、放置せずに当クリニックへご相談ください。日本整形外科学会専門医である院長が、正確な診断と最適な治療を提供し、快適な日常への復帰をサポートいたします。
腱板断裂とは?五十肩との違い
腱板とは?
腱板(ローテーターカフ)とは、肩関節を安定させ、腕をスムーズに動かすために重要な役割を果たす4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱の総称です。この腱の一部、または全部が切れてしまった状態が「腱板断裂」です。
腱板断裂の主な原因
腱板断裂は、主に以下の原因によって起こります。
- ◼︎加齢による変化(変性)
- 最も多い原因です。腱は加齢とともに弾力性を失いもろくなるため、軽い外力や日常的な動作の繰り返しでも断裂しやすくなります。
- ◼︎繰り返しの負荷
- 野球やテニスなど肩を酷使するスポーツや、重いものを持ち上げる肉体労働など、肩に繰り返し過度な負担がかかることで腱が摩耗し、断裂に至ることがあります。
- ◼︎転倒などの外傷
- 肩を強打したり、転倒して手をついたりした際に、強い力がかかることで腱が切れることがあります。
五十肩(肩関節周囲炎)との決定的な違い
腱板断裂と五十肩は症状が似ているため混同されがちですが、病態は全く異なります。正確な鑑別が治療方針の決定に不可欠です。
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項目 |
腱板断裂 |
五十肩(肩関節周囲炎) |
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病態 |
腱(筋肉と骨をつなぐ組織)が切れている状態 |
肩関節の周囲に炎症が起き、関節包が硬くなる状態 |
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主な症状 |
腕を上げる時に力が入らない 特定の動作や角度で激しい痛み 他人の介助があれば腕が上がることが多い(他動可動域の維持) |
安静時や夜間にも強い痛み 肩の可動域全体が徐々に狭くなる 他人の介助があっても腕が上がりにくい(拘縮) |
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進行 |
自然治癒は難しく、断裂が進行することがある |
ほとんどの場合、適切な治療で自然治癒する |
腱板断裂の場合、「自力で腕を上げるのは難しいが、他人に手伝ってもらえば痛むものの動く」という特徴的な症状が見られることが多く、これは関節自体が固まっているわけではないためです。
あおと整形外科クリニックでの診断と治療
当クリニックでは、問診と触診に加え、高性能な画像検査を用いて腱板の状態を正確に把握し、個々の患者様に最適な治療方針を決定します。
1. 正確な診断
- ◼︎超音波(エコー)検査
- 痛みのある箇所をリアルタイムで詳細に観察し、腱板の断裂の有無、程度、位置をその場で正確に把握します。X線(レントゲン)では写らない腱や筋肉の状態がわかる、非常に重要な検査です。
- ◼︎X線(レントゲン)検査
- 骨や関節の状態、骨と骨の間隔などを確認し、石灰沈着や他の病気が隠れていないか確認します。
2. 保存療法(非手術的治療)
断裂の程度が軽度の場合や、痛みのコントロールが優先される場合、まずは保存療法を積極的に行います。
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治療法 |
目的と内容 |
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リハビリテーション |
理学療法士がマンツーマンで指導。腱板以外の筋肉を鍛えて肩の機能を補強したり、硬くなった関節をほぐしたりすることで、痛みの軽減と機能改善を図ります。 |
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注射療法 |
痛みが強い場合、炎症を抑える注射(局所麻酔薬やステロイド)や、腱板周囲の癒着を剥がすハイドロリリースを行い、痛みを緩和しリハビリの効果を高めます。 |
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薬物療法 |
炎症や痛みを抑える内服薬や外用薬(湿布など)を処方します。 |
3. 手術の検討
保存療法を3ヶ月以上続けても症状が改善しない場合、断裂が大きく日常生活に支障をきたしている場合は、手術を検討します。
当クリニックと連携している専門病院へご紹介し、主に関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術による断裂した腱を縫い合わせる手術を行います。関節鏡下手術は、小さな切開で行うため、体への負担が少なく、術後の回復が比較的早いのが特徴です。
腱板断裂と診断された方のための対策(セルフケア)
治療効果を高め、症状の悪化を防ぐために、日常生活で以下の点に注意しましょう。
- ◼︎痛みの出る動作を避ける
- 特に腕を上げる動作や、重いものを持つ動作は腱板に負担をかけるため、一時的に避けるように心がけましょう。
- ◼︎肩の保温
- 肩を冷やさないよう、入浴などで温め、血行を良くすることが大切です。
- ◼︎セルフエクササイズの継続
- 理学療法士から指導された「腱板以外の筋肉を補強する体操」や「肩甲骨周りの運動」を、痛みのない範囲で毎日継続して行いましょう。
- ◼︎急性期の安静
- 痛みが強い急性期は、無理に動かさず、安静を保つことが大切です。
腱板断裂は、放置すると断裂部が広がり、肩の機能がさらに低下する可能性があります。
「単なる年のせいだろう」と自己判断せず、岐阜市内で肩の挙上困難でお悩みの方は、お早めにあおと整形外科クリニックにご相談ください。
FAQ
Q1:腱板断裂は自分で治せますか?
A1:腱板は一度切れてしまうと、自然に完全に修復することは難しいとされています。断裂の程度によっては、保存療法で腱板以外の筋肉を鍛えることで肩の機能を補い、痛みをコントロールすることは可能です。しかし、断裂の進行を防ぐためにも、自己判断せずに専門医の診断を受けることが重要です。
Q2:腱板断裂と診断されたら、必ず手術が必要ですか?
A2:必ずしも手術が必要というわけではありません。断裂が小さく痛みが軽度であれば、リハビリテーションや注射などの保存療法で症状が改善し、日常生活に支障がない状態を維持できるケースも多くあります。手術は、保存療法で改善しない場合や、断裂が大きく日常生活に大きな支障がある場合に検討されます。
Q3:腱板断裂の注射治療はどのようなものですか?
A3:腱板断裂に伴う炎症や痛みを抑えるために、ステロイドや局所麻酔薬を注入する治療を行います。また、当院では超音波エコーガイド下で、腱板周囲の癒着を剥がすハイドロリリース注射を行うことで、痛みの緩和と可動域の改善を図り、リハビリの効果を高めます。
Q4:リハビリはどのくらい続ければ効果が出ますか?
A4:リハビリテーションの効果には個人差がありますが、一般的に数ヶ月以上の継続が必要です。特に、腱板断裂は単に腱を治すだけでなく、他の筋肉で機能を補強することが重要であり、医師や理学療法士の指導のもと、根気強く続けることが大切です。
📚 参考文献
- 腱板断裂|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rotator_cuff_tear.html)
- 肩腱板断裂診療ガイドライン 2024(日本整形外科学会)
監修者情報
監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)









