医院名:あおと整形外科クリニック 住所:〒500-8315 岐阜県岐阜市島田東町41-1
電話番号:058-252-0220

コラム

2025.10.02

骨密度を上げるには?整形外科でできること

骨密度を上げるには?「いつの間にか骨折」を防ぐ整形外科での骨粗しょう症対策

「最近、背中が丸くなった気がする」「ちょっと転んだだけで手首や大腿骨を折ってしまった」—これらは、骨粗しょう症が原因で骨密度が低下しているサインかもしれません。

骨粗しょう症は、骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる病気です。特に女性は閉経後に急激に骨密度が低下し、適切な対策をしないと、気づかないうちに背骨が潰れてしまう「いつの間にか骨折(圧迫骨折)」や、要介護状態につながる大腿骨近位部骨折のリスクが高まります。

骨密度は年齢とともに低下しますが、「もう手遅れだ」と諦める必要はありません。整形外科では、正確な診断科学的根拠に基づいた治療により、骨密度を上げ、骨折を防ぐことが可能です。岐阜市にあるあおと整形外科クリニックで、あなたの骨の健康を守りましょう。

なぜ骨密度は低下するのか?骨粗しょう症の原因

骨は、カルシウムなどのミネラルを主成分とし、古い骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」というサイクル(骨代謝)を繰り返して、常に作り変えられています。

骨粗しょう症は、このバランスが崩れることで起こります。

1. 加齢:骨吸収のスピードが骨形成を上回る

特に50歳以降、骨を作る力が衰え、骨吸収のスピードが優位になることで、骨全体がスカスカともろくなっていきます。

2. 女性ホルモンの減少(閉経後)

女性は、骨の健康を保つエストロゲンというホルモンが閉経後に急激に減少します。これにより骨吸収が加速し、男性よりも早いスピードで骨密度が低下します。

3. 運動不足・栄養不足

骨に適度な負荷(運動)がかからないと骨形成が促進されません。また、骨の材料となるカルシウムや、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが不足することも大きな原因です。

骨密度を上げるために必要な「3つの柱」

骨密度を改善し、骨折を防ぐためには、整形外科での専門的な治療と、日々の生活習慣の改善を組み合わせたアプローチが必要です。

1. 骨密度を改善する「薬物療法」(整形外科での治療の柱)

生活習慣の改善だけでは不十分な場合、最も効果的なのは薬による治療です。整形外科では、骨粗しょう症の状態や、骨折のリスクに応じて最適な薬を選択します。

  • 骨吸収を抑える薬(ビスホスホネート製剤など): 骨が壊されるのを防ぎ、骨密度低下の進行を遅らせます。
  • 骨形成を促す薬(テリパラチド製剤など): 新しい骨を作る働きを強力に助け、骨密度を大きく改善する効果が期待できます。
  • 骨代謝を調整する薬: 女性ホルモンに似た作用を持つ薬など、骨吸収と骨形成のバランスを整えます。

当院では、内服薬だけでなく、月に一度や半年に一度で済む注射剤も積極的に取り入れ、患者様の負担を減らし、治療の継続をサポートしています。

2. 骨を強くする「運動療法」(適切な負荷をかける)

骨は、負荷(重力や筋肉の牽引力)がかかることで強くなります。単なる散歩だけでなく、骨に刺激を与える運動を組み合わせることが重要です。

  • ◼︎ウォーキング
  • かかとから地面に着地し、適度な衝撃を骨に伝えるように意識して歩きましょう。
  • ◼︎筋力トレーニング
  • 太ももや背筋など、大きな筋肉に負荷をかける運動(スクワット、かかと上げなど)は、骨への刺激と転倒予防に繋がります。
  • ◼︎理学療法士による指導
  • 当院では、専門の理学療法士が、骨折のリスクを考慮したうえで、安全かつ効果的に骨密度を上げるための正しい運動方法やフォームを丁寧に指導します。

3. 骨の材料を摂る「栄養療法」(食事の見直し)

どんなに良い薬や運動をしても、骨の材料が不足していては意味がありません。

  • ◼︎カルシウム
  • 牛乳、乳製品、小魚、小松菜、豆腐などから積極的に摂取しましょう。
  • ◼︎ビタミンD
  • カルシウムの吸収を助け、骨を強くするのに不可欠です。サケ、サンマなどの魚類、きのこ類に多く含まれます。また、日光浴(適度な紫外線)によって体内で合成されます。
  • ◼︎ビタミンK
  • 骨にカルシウムを取り込むのを助けます。納豆、緑黄色野菜などに豊富です。

あおと整形外科クリニックでの骨粗しょう症の検査と治療の流れ

骨粗しょう症の対策は、まず正確な診断から始まります。「自分は大丈夫」と自己判断せずに、一度検査を受けることが大切です。

1. 骨密度の精密検査(DXA法)

当院では、最も精度の高い検査法であるDXA(デキサ)法を用いて、腰椎(腰の骨)と大腿骨頸部(太ももの付け根)の骨密度を測定します。この結果をもとに、あなたの骨の状態を正確に把握します。

2. 血液・尿検査

骨代謝の状態(骨が壊されている速さや、作られている速さ)を評価するため、血液や尿の検査を行います。これにより、薬物療法の種類を決定するうえでの重要な情報が得られます。

3. 個別治療計画の立案と継続的なフォローアップ

検査結果と、年齢、既往歴、骨折リスクなどを総合的に判断し、専門医である院長が最適な薬物療法を選択します。さらに、理学療法士による運動指導や生活指導を組み合わせ、骨密度が改善しているかを定期的にチェックしながら、長期的にサポートしていきます。

院長からのメッセージ:骨の健康は未来の活動力です

骨粗しょう症は、痛みなどの自覚症状がないまま進行し、「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれます。しかし、骨折してしまってからでは遅すぎます。

私たちは、骨折予防を通じて、患者様がいつまでも旅行や趣味、そして家族との活動を楽しめるよう、未来の健康をサポートしたいと考えています。

「最近、背が縮んだ気がする」「閉経後、骨の健康が気になる」という方は、ぜひ一度、あおと整形外科クリニックにご相談ください。あなたの骨密度を改善し、活動的な毎日を守るお手伝いをさせていただきます。

監修者情報

監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)