医院名:あおと整形外科クリニック 住所:〒500-8315 岐阜県岐阜市島田東町41-1
電話番号:058-252-0220

コラム

2025.07.30

骨折後のリハビリで大切なこと:痛みからの回復、そして元通りの生活へ

骨折は、予期せぬ事故や転倒、スポーツ中の怪我など、様々な状況で起こりうる身近な怪我の一つです。骨折すると、ギプスなどで固定したり、場合によっては手術を受けたりして、骨がくっつくのを待つ期間が必要です。しかし、骨がくっついたからといって、それで治療が終わりではありません。怪我をする前と同じように身体を動かせるようになるためには、「リハビリテーション」が非常に大切になります。

もし、あなたが骨折後の身体の動かしにくさ、痛み、不安を感じているなら、私たち整形外科があなたの力になれるかもしれません。あおと整形外科クリニックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧なリハビリテーションを通じて、痛みからの回復、そして社会生活やスポーツへの安全な復帰を全力でサポートいたします。

なぜ骨折後のリハビリが大切なのか?

「骨がくっつけばそれで治った」と思われがちですが、骨折後の患部は、長期間の固定や安静によって様々な影響を受けています。

  • ▪️関節の硬さ(関節拘縮)
    ギプスなどで固定されている間、関節を動かせないため、関節を包む袋や周囲の組織が硬くなり、関節の動きが悪くなります。

  • ▪️筋力の低下
    使わない筋肉は衰えます。固定期間中に患部だけでなく、全身の筋力も低下することがあります。

  • ▪️むくみや血行不良
    固定や安静によって血流が悪くなり、むくみが生じたり、回復が遅れたりすることがあります。
  • ▪️バランス能力の低下
    患部の痛みや動かせない期間が長引くと、身体全体のバランス感覚が鈍ることがあります。

  • ▪️再受傷のリスク
    筋力やバランス能力が十分に回復しないまま日常生活に戻ると、再び転倒したり、別の場所を痛めたりするリスクが高まります。

  • ▪️精神的な不安
    痛みが続くことや、元のように動かせないことへの不安、再骨折への恐怖心など、精神的なサポートも必要になることがあります。

これらの問題を解決し、骨折をする前の生活を取り戻すために、そして、より安全で質の高い生活を送るために、計画的なリハビリテーションが不可欠なのです。

▪️骨折後のリハビリテーションのステップ

骨折後のリハビリテーションは、骨が治っていく過程と、患者さんの状態に合わせて段階的に進められます。あおと整形外科クリニックでは、国家資格を持つ理学療法士が、医師の指示のもと、一人ひとりの骨折の部位、重症度、年齢、生活習慣などを考慮したオーダーメイドのリハビリプログラムを作成・実施します。

1. 固定期間中のリハビリ(骨癒合促進と合併症予防)

骨折直後から骨が安定するまでの「固定期間」も、実はリハビリの重要な始まりです。

  • ▪️患部以外のリハビリ
    ギプスで固定されている間も、固定されていない手足や体幹の運動は積極的に行います。これにより、全身の筋力低下を防ぎ、バランス能力を維持します。

  • ▪️むくみの軽減
    患部の挙上や、固定されていない指や足首を動かすことで、血行を促進し、むくみを軽減します。

  • ▪️等尺性運動
    ギプスの中で、筋肉に力を入れる・緩めるを繰り返す等尺性運動を行うことで、固定された部分の筋力低下を最小限に抑えます。

この段階では、骨折部への負担を避けることが最優先であり、無理に動かさないよう細心の注意を払います。

2. 固定除去後のリハビリ(関節可動域・筋力の回復)

骨が十分に安定し、ギプスなどが外れた段階から、本格的なリハビリが始まります。この時期は、固まった関節を柔らかくし、低下した筋力を取り戻すことが主な目標です。

  • ▪️関節可動域訓練(ROM訓練)
    固まってしまった関節を、理学療法士が手を使ってゆっくりと動かしたり、患者様ご自身で自動的に動かしたりすることで、徐々に関節の動きを回復させていきます。痛みを伴うこともありますが、痛みの程度を見ながら無理なく進めることが重要です。

  • ▪️筋力トレーニング
    低下した筋力を回復させるために、段階的に筋力トレーニングを行います。最初は軽い負荷から始め、徐々に負荷を増やしていきます。チューブや重りを使った運動、自分の体重を利用した運動など、様々な方法があります。

  • ▪️物理療法
    温熱療法、電気治療(干渉波治療器など)、超音波治療器、ウォーターベッドなどの物理療法機器を活用し、血行促進、痛みの軽減、組織の柔軟性の向上を図ります。あおと整形外科クリニックでも、これらの機器を充実させ、患者さんの痛みに応じた治療を提供しています。

  • ▪️ハイドロリリース(筋膜リリース)
    特に、骨折後の長期間の安静によって周囲の筋肉や腱、筋膜が硬くなったり、癒着したりすることがあります。当クリニックでは、超音波エコーガイド下で、硬くなった筋膜や腱の癒着を剥がす「ハイドロリリース」を行うことで、より効果的に関節の動きを改善し、痛みを軽減する場合があります。

3. 日常生活・社会復帰に向けたリハビリ(バランス・機能回復)

関節の動きや筋力が回復してきたら、実際の日常生活動作(ADL: Activities of Daily Living)に必要な動作能力を取り戻すためのリハビリへと移行します。

  • ▪️バランス訓練
    片足立ち、不安定な場所での歩行練習など、身体のバランス感覚を養う訓練を行います。特に下肢の骨折の場合、転倒予防のために重要です。

  • ▪️歩行訓練
    装具の調整や、正しい歩行フォームの習得を目指します。階段の上り下り、坂道の歩行など、具体的な場面を想定した練習も行います。

  • ▪️協調性・巧緻性訓練
    手や指の骨折の場合、細かい作業や、両手を使った動作の練習を行います。

  • ▪️生活指導
    自宅での自主トレーニングの方法、安全な生活環境の整え方、再骨折予防のための注意点など、日常生活におけるアドバイスを行います。

4. スポーツ・趣味への復帰に向けたリハビリ(高レベルな機能回復と予防)

スポーツや特定の趣味への復帰を希望される方には、さらに専門的なリハビリプログラムを作成します。

  • ▪️スポーツ動作に特化した訓練
    ランニング、ジャンプ、方向転換など、実際のスポーツ動作に必要な筋力、持久力、俊敏性を高める訓練を行います。

  • ▪️フォーム指導
    怪我をする前のフォームの問題点を見直し、負担の少ない効率的なフォームの習得を目指します。

  • ▪️再発予防
    再骨折や他の部位の怪我を防ぐためのトレーニング、コンディショニング方法を指導します。

あおと整形外科クリニックでは、患者様が目標とするレベルまで安全に復帰できるよう、日本整形外科学会専門医と理学療法士が密に連携し、患者様一人ひとりの「もっと動きたい」という気持ちを大切にしながら、きめ細やかなサポートを提供しています。

リハビリを成功させるための大切なポイント

骨折後のリハビリを成功させるためには、患者さんご自身の「頑張り」と、医療者との「協力」が不可欠です。

  • ▪️痛みとのつきあい方
    リハビリ中に多少の痛みを感じることはありますが、無理は禁物です。痛みが強すぎる場合は、すぐに理学療法士や医師に伝えましょう。痛みを我慢しすぎると、かえって回復を遅らせたり、新たな問題を引き起こしたりする可能性があります。

  • ▪️継続すること
    リハビリは一朝一夕で効果が出るものではありません。根気強く、継続して取り組むことが大切です。

  • ▪️積極的な参加
    ただ指示されたメニューをこなすだけでなく、自分の身体の状態を理解し、疑問点があれば積極的に質問しましょう。自宅での自主トレーニングも、回復を早める上で非常に重要です。

  • ▪️医師・理学療法士との連携
    リハビリの進捗や身体の状態、不安なことなど、定期的に医療スタッフと共有し、相談しましょう。チーム医療で患者様の回復を支えます。

骨折はつらい経験ですが、適切なリハビリテーションを受けることで、多くの患者さんが元の生活、そしてスポーツや趣味を再び楽しめるようになります。不安や疑問があれば、いつでもあおと整形外科クリニックにご相談ください。私たちは、あなたの「治りたい」という気持ちに寄り添い、全力でサポートいたします。

FAQ

Q1:骨折後、いつからリハビリを始められますか?

A:骨折の部位や重症度によりますが、多くの場合、骨折直後からリハビリは始まります。ギプスなどで固定している期間も、患部以外の関節を動かしたり、むくみを防いだりするリハビリを行います。ギプスが外れた後は、骨のつき具合を確認しながら、医師の指示のもと、本格的なリハビリへと移行します。早期に始めるほど、関節が固まるのを防ぎ、回復が早まる傾向にあります。

Q2:リハビリ中に痛みがあっても続けても大丈夫ですか?

A:リハビリ中に多少の痛みや違和感を感じることはありますが、強い痛みや鋭い痛みが続く場合は、無理をせず理学療法士や医師に伝えましょう。骨折した部分に過度な負担がかかっている可能性や、他の問題がある可能性も考えられます。痛みを我慢しすぎると、かえって回復を妨げたり、新たな怪我につながったりすることがあります。

Q3:自宅でできるリハビリはありますか?

A:はい、理学療法士が指導する自主トレーニングは、リハビリの進行に非常に重要です。病院でのリハビリだけでなく、ご自宅でも継続して行うことで、回復を早められます。具体的な内容は骨折の部位や状態によって異なりますが、ストレッチや軽い筋力トレーニングなどが含まれることが多いです。必ず、医師や理学療法士の指示に従って安全に行いましょう。

Q4:リハビリはどのくらいの期間続ける必要がありますか?

A:リハビリの期間は、骨折の部位、重症度、年齢、元の生活習慣、目標(日常生活への復帰か、スポーツ復帰かなど)によって大きく異なります。数週間で基本的な動きが回復する方もいれば、数ヶ月から半年、あるいはそれ以上の期間を要することもあります。焦らず、医師や理学療法士と相談しながら、目標を共有し、段階的に進めていくことが大切です。

Q5:骨折後に足首や膝の関節が硬くなってしまいました。どうしたら良いですか?

A:骨折後の長期の固定や安静によって、関節が硬くなる「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」はよく見られる合併症です。このような場合、理学療法士が関節を柔らかくするストレッチやマッサージ、物理療法などを組み合わせた治療を行います。当クリニックでは、超音波エコーガイド下でのハイドロリリースなども検討し、関節周囲の筋肉や筋膜の癒着を剥がすことで、関節の動きの改善を目指します。早めに専門家にご相談ください。

📚 参考文献

  1. ▪️骨折のリハビリは何をするの?早く治すために大切なことは? | イシコメ
    https://ishicome.jp/column/rehabilitation-for-fracture/
  2. ▪️骨折後のリハビリについて解説 | 山田整形外科
    https://yamada-seikeigeka.jp/column/231124/
  3. ▪️大腿骨頸部骨折後のリハビリテーションの重要性とは? | 医療法人社団日翔会
    https://www.nisshokai.jp/column/rehabilitation/femoral-neck-fracture/

🔖 監修者情報

監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)