医院名:あおと整形外科クリニック 住所:〒500-8315 岐阜県岐阜市島田東町41-1
電話番号:058-252-0220

コラム

2025.07.07

変形性膝関節症の症状と治療法 〜つらい膝の痛みと、上手につきあうために〜

はじめに:階段の昇り降りがつらい…それ、変形性膝関節症かもしれません

「朝起きたとき、膝がこわばる」
「階段を降りるときに膝が痛む」
「正座ができなくなった」

そんな症状でお悩みの方は、変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)の可能性があります。この病気は、中高年を中心に多く見られる膝の軟骨がすり減っていく疾患で、放置すると痛みや変形が進行してしまうこともあります。

この記事では、変形性膝関節症の特徴・原因・治療法について、整形外科での対応を含めてわかりやすく解説します。あおと整形外科クリニックでは、画像検査による正確な診断段階に応じた治療提案を行っており、症状に合わせたリハビリや生活指導を行っています。

変形性膝関節症とは?

膝の軟骨がすり減ることで起きる“関節の老化”

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある関節で、軟骨がクッションの役割を果たしています。しかし、加齢や使いすぎにより軟骨がすり減ると、骨同士がぶつかるようになり、炎症や変形、痛みを引き起こすのが変形性膝関節症です。

変形性膝関節症の主な症状

  • ・ 朝起きたときに膝がこわばる
  • ・ 階段の昇り降りが痛い
  • ・ 膝を曲げ伸ばしすると音が鳴る(ゴリゴリ)
  • ・ 正座やしゃがむ動作がしづらい
  • ・ 膝の腫れや熱感
  • ・ O脚気味になってきた

進行すると、関節の変形や歩行障害、安静時の痛みなども見られるようになります。

原因とリスク要因

▪️性別によるリスク
特に50歳以降の女性に多く、閉経後のホルモン変化が影響するといわれています。

▪️肥満や運動不足
体重が膝に大きな負担をかけます。運動不足による筋力低下も進行を早める要因です。

▪️過去のケガや膝の使いすぎ
スポーツや転倒などの膝の外傷歴正座や階段の多い生活習慣もリスクになります。

どんな検査をするの?

あおと整形外科クリニックでは、以下のような検査を通じて診断を行います。

▪️X線検査(レントゲン)
膝の関節間の狭まりや骨の変形、骨棘(こつきょく)の有無などを確認します。

▪️MRI検査(必要に応じて)
関節軟骨や半月板の状態、炎症の有無など、より詳細な情報が得られます。

治療方法:症状の段階に合わせて

▪️保存療法(手術以外の治療) 初期〜中期の方におすすめされる治療です。

1. 薬物療法

  • ・ 消炎鎮痛薬(内服・外用)
  • ・ ヒアルロン酸の関節注射

2. 理学療法(リハビリ)

  • ・ 太ももの筋肉(大腿四頭筋)強化
  • ・ ストレッチや歩行訓練
  • ・ 電気療法や温熱療法

3. 装具療法

  • ・ 膝にかかる負担を軽減するサポーターや足底板
  • ・ 電気療法や温熱療法

4. 再生医療

  • ・ PRP療法などで関節内の炎症を抑え、軟骨修復を促す治療
    ※当院では症状に応じて提案しています

あおと整形外科クリニックでは、理学療法士による個別リハビリを通じて、無理なく機能改善を目指します。

▪️手術療法(重度の場合)

  • ・ 高位脛骨骨切り術(骨の角度を調整)
  • ・ 人工膝関節置換術(人工関節に置き換える)

日常生活に大きな支障がある方や、保存療法で改善が見られない方が対象となります。当院では必要に応じて連携病院への紹介を行っています。

日常生活でできる予防とケア

▪️体重管理
1kgの増加が膝に数倍の負担をかけるといわれています。適正体重の維持が予防の第一歩です。

▪️筋力トレーニング
膝の安定には太ももの筋肉(大腿四頭筋)の強化が効果的。無理のない範囲で継続を。

▪️正しい姿勢と動作習慣

  • ・ 和式より洋式の生活スタイルへ
  • ・ 長時間の正座を避ける
  • ・ 階段は手すりを使用

放置するとどうなる?

変形性膝関節症を放っておくと、以下のようなリスクがあります。

  • ・ 関節の変形が進行し、歩行困難に
  • ・ 慢性的な痛みや腫れにより生活の質が低下
  • ・ 最終的に人工関節手術が必要になることも。早期に対処することで進行を抑え、手術を回避できる可能性もあります。

 

あおと整形外科クリニックでの対応

当院では、次のような包括的な対応を行っています。

  • 的確な診断と段階に応じた治療提案
  • 理学療法士と連携したオーダーメイドリハビリ
  • 日常生活の動作指導やセルフケアの支援

「歳のせいだから仕方ない」とあきらめる前に、まずは一度ご相談ください。

【FAQ】よくある質問

Q1. ヒアルロン酸注射は毎回必要ですか?
症状によりますが、数回の注射で効果が出る方もいます。医師が状態を見ながら判断します。

Q2. リハビリはどのくらいの頻度で行うのが良いですか?
週1〜2回程度から始める方が多いです。症状や目的に応じて調整します。

Q3. 正座はしてはいけませんか?
症状がある間は避けた方が良いです。改善後も負担の少ない姿勢を心がけましょう。

Q4. 予防のための運動は何がおすすめですか?
ウォーキング、スクワット、階段昇降などが効果的ですが、痛みの出ない範囲で行うことが大切です。

Q5. 手術しないと治らないですか?
多くの方が保存療法とリハビリで改善しています。手術は最終手段です。

📚【参考文献】

  1. 日本整形外科学会「変形性膝関節症」
    https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html
  2. 健康長寿ネット「変形性膝関節症」
    https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/henkeiseikansetsushou/about.html
  3. MSDマニュアル家庭版「変形性膝関節症」
    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/08-骨-関節-筋肉の病気/関節の病気/変形性関節症

🔖【監修者情報】

監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)