はじめに:階段の昇り降りがつらい…それ、変形性膝関節症かもしれません
「朝起きたとき、膝がこわばる」
「階段を降りるときに膝が痛む」
「正座ができなくなった」
そんな症状でお悩みの方は、変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)の可能性があります。この病気は、中高年を中心に多く見られる膝の軟骨がすり減っていく疾患で、放置すると痛みや変形が進行してしまうこともあります。
この記事では、変形性膝関節症の特徴・原因・治療法について、整形外科での対応を含めてわかりやすく解説します。あおと整形外科クリニックでは、画像検査による正確な診断と段階に応じた治療提案を行っており、症状に合わせたリハビリや生活指導を行っています。
変形性膝関節症とは?
膝の軟骨がすり減ることで起きる“関節の老化”
膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある関節で、軟骨がクッションの役割を果たしています。しかし、加齢や使いすぎにより軟骨がすり減ると、骨同士がぶつかるようになり、炎症や変形、痛みを引き起こすのが変形性膝関節症です。
変形性膝関節症の主な症状
- ・ 朝起きたときに膝がこわばる
- ・ 階段の昇り降りが痛い
- ・ 膝を曲げ伸ばしすると音が鳴る(ゴリゴリ)
- ・ 正座やしゃがむ動作がしづらい
- ・ 膝の腫れや熱感
- ・ O脚気味になってきた
進行すると、関節の変形や歩行障害、安静時の痛みなども見られるようになります。
原因とリスク要因
▪️性別によるリスク
特に50歳以降の女性に多く、閉経後のホルモン変化が影響するといわれています。
▪️肥満や運動不足
体重が膝に大きな負担をかけます。運動不足による筋力低下も進行を早める要因です。
▪️過去のケガや膝の使いすぎ
スポーツや転倒などの膝の外傷歴、正座や階段の多い生活習慣もリスクになります。
どんな検査をするの?
あおと整形外科クリニックでは、以下のような検査を通じて診断を行います。
▪️X線検査(レントゲン)
膝の関節間の狭まりや骨の変形、骨棘(こつきょく)の有無などを確認します。
▪️MRI検査(必要に応じて)
関節軟骨や半月板の状態、炎症の有無など、より詳細な情報が得られます。
治療方法:症状の段階に合わせて
▪️保存療法(手術以外の治療) 初期〜中期の方におすすめされる治療です。
1. 薬物療法
- ・ 消炎鎮痛薬(内服・外用)
- ・ ヒアルロン酸の関節注射
2. 理学療法(リハビリ)
- ・ 太ももの筋肉(大腿四頭筋)強化
- ・ ストレッチや歩行訓練
- ・ 電気療法や温熱療法
3. 装具療法
- ・ 膝にかかる負担を軽減するサポーターや足底板
- ・ 電気療法や温熱療法
4. 再生医療
- ・ PRP療法などで関節内の炎症を抑え、軟骨修復を促す治療
※当院では症状に応じて提案しています
あおと整形外科クリニックでは、理学療法士による個別リハビリを通じて、無理なく機能改善を目指します。
▪️手術療法(重度の場合)
- ・ 高位脛骨骨切り術(骨の角度を調整)
- ・ 人工膝関節置換術(人工関節に置き換える)
日常生活に大きな支障がある方や、保存療法で改善が見られない方が対象となります。当院では必要に応じて連携病院への紹介を行っています。
日常生活でできる予防とケア
▪️体重管理
1kgの増加が膝に数倍の負担をかけるといわれています。適正体重の維持が予防の第一歩です。
▪️筋力トレーニング
膝の安定には太ももの筋肉(大腿四頭筋)の強化が効果的。無理のない範囲で継続を。
▪️正しい姿勢と動作習慣
- ・ 和式より洋式の生活スタイルへ
- ・ 長時間の正座を避ける
- ・ 階段は手すりを使用
放置するとどうなる?
変形性膝関節症を放っておくと、以下のようなリスクがあります。
- ・ 関節の変形が進行し、歩行困難に
- ・ 慢性的な痛みや腫れにより生活の質が低下
- ・ 最終的に人工関節手術が必要になることも。早期に対処することで進行を抑え、手術を回避できる可能性もあります。
あおと整形外科クリニックでの対応
当院では、次のような包括的な対応を行っています。
- 的確な診断と段階に応じた治療提案
- 理学療法士と連携したオーダーメイドリハビリ
- 日常生活の動作指導やセルフケアの支援
「歳のせいだから仕方ない」とあきらめる前に、まずは一度ご相談ください。
【FAQ】よくある質問
Q1. ヒアルロン酸注射は毎回必要ですか?
症状によりますが、数回の注射で効果が出る方もいます。医師が状態を見ながら判断します。
Q2. リハビリはどのくらいの頻度で行うのが良いですか?
週1〜2回程度から始める方が多いです。症状や目的に応じて調整します。
Q3. 正座はしてはいけませんか?
症状がある間は避けた方が良いです。改善後も負担の少ない姿勢を心がけましょう。
Q4. 予防のための運動は何がおすすめですか?
ウォーキング、スクワット、階段昇降などが効果的ですが、痛みの出ない範囲で行うことが大切です。
Q5. 手術しないと治らないですか?
多くの方が保存療法とリハビリで改善しています。手術は最終手段です。
📚【参考文献】
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html - 健康長寿ネット「変形性膝関節症」
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/henkeiseikansetsushou/about.html - MSDマニュアル家庭版「変形性膝関節症」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/08-骨-関節-筋肉の病気/関節の病気/変形性関節症
🔖【監修者情報】
監修:日本整形外科学会専門医 青戸 寿之(あおと整形外科クリニック 院長)